Discography

After A Long Spell Of Rain 吉野美知子 2nd アルバム

Swing Journal(スイングジャーナル社)2001年7月号

吉野美知子という今回初めて出会った個性派ヴォーカリスト。
録音場所やメンバーなどからベースの森泰人のように北欧を拠点にしている人かと想像したが、実際はこちらでヴォーカル教室を主催しており、本作は17年ぶりの2枚目になるという。

前半はスタンダードで、スキャットによるオリジナルと、かなり構成も独創的。ポルトガルで唄われるfalando de amorもイイが、オリジナルナンバーでの歌唱にその個性が集約されているようで、(タイトル曲がお勧め!)北の地の清澄な大気に良く溶け合っている。大徳のアプローチも瑞々しく抜群だ!(小西啓一)

Jazz Life 2001年6月号

妖しくファンタジックで遠慮のない独自世界の開陳 自らスク−ルを主宰するヴォ−カリスト吉野の、実に17年ぶりとなる2作目。

レコ−ディングは北欧の森に近いスタジオで行なわれたというから、仕上がりも察せられよう。
厚い靄が長い雨の後のようにスッと払われたような彼女の心が、そのまま作品に込められたのだとか。気怠くもスッキリ音場が開けてくるサウンド.メイキングはバツグン。その澄んだ空気の中を直線的で、遠く、しかも優しく届かせようといった風に現れるのが吉野の声で、その独特の発声と音感は爽快である。前半をスタンダード、後半にスキャットのみのオリジナル曲。

妖しくファンタジックで遠慮のない独自世界の開陳に、いつかこちらもすっぽりハマりこんでしまっていることに気付くのだ。(長門竜也)

マイケル・ブロンコ氏による3月29日“WeeklyReview”

吉野美知子が17年ぶりにレコーディングした本盤は、ソフトで成熟し、リリカルなボーカルセッションとなった。

録音はスウェーデンの小さな町。バッキングはクールで艶やか、かつ繊細で、吉野のボーカルの脇をきっちりと固めている。美しいバラード「Invitation」を皮切りに、吉野はゆったりと自信あふれるナンバーの見事な選曲で、雰囲気を作りあげている。

ポルトガル語で唄う「Falando de Amor」や「Round Midnight」「Blame It on My Youth」「Waltz for Debby」などは、全てソフトで思索に満ちた曲で、吉野のボーカルスタイルにぴったりだ。彼女の声はハスキーで力強く、サックスを吹き流すような空気の流れを感じさせる。音域はやや限定されているものの、それをうまく使いこなしている。声を無理やり上下させて高音や低音を出すよりも、自分がもっともコントロールできる中音域でおだやかにスイングさせるというように。吉野は高望みしないのだが、結局うまくいってしまうのだ。また、その声からは、自らのもろさをさらけ出すのも恐れない厭世観が伝わってくる。弱さの奥に芯の強さを秘めていると言えるかもしれない。

スタンダードナンバーが終わると、吉野は歌詞をつけないオリジナルに取りかかる。この4曲はとりわけ空気感が漂い、耳にこびりついて離れない。あらゆる言語の言葉を発する呪縛から解き放たれ、吉野は自分の声を楽器のよう操っている。曲の静かで底深いパワーは、洗練され個性的、複雑というまぎれもないヨーロッパの感性を体現している。ただし、ジャズの枠に収まりきらないことが、一部のジャズファンを困惑させてしまうこともあるだろう。しかし、典型的なジャズボーカルの域にとどまらず、自分たちの表現の可能性を追い求めた名演だ。吉野が近いうちにレコーディングやライブを披露してくれるといいのだが。(翻訳:梅田実代)

Michiko Yoshino's first recording in seventeen years is a soft, mature and lyrical vocal session. Recorded in a small town in Sweden, Yoshino's vocals are well-framed by a cool, sleek and delicate backing. Starting out with the lovely ballad, "Invitation," Yoshino sets the mood for a series of unhurried, confident, and well-chosen pieces. "Falando de Amor," (sung in Portuguese), "Round Midnight," "Blame It on My Youth," and "Waltz for Debby" are all soft, reflective pieces that fit Yoshino's singing style well. Her voice is husky and strong, with a flow of air like a lightly played sax. She has a somewhat limited range, but uses it well. Rather than forcing her voice to move high and low, she lets it swing calmly through the middle range of phrasing where she has the most control. She never over-reaches for too much, but gets it anyway. Her voice conveys a world-weariness that is unafraid to expose her vulnerability. It has a strength in its weakness, one might say. After the classic tunes, though, Yoshino goes into four originals which are sung without words. These four tunes are especially ethereal and haunting. She lets her voice move like an instrument, unimpeded by the necessity to articulate words from any language. The calm, deep power of these songs show a distinctly European sensibility--sophisticated, individual and complex. While their not fitting exactly into neat jazz categories may disturb some jazz listeners, they are lovely vocal performances that move outside typical jazz singing in their search for expression. Hopefully, Yoshino will be recording and performing more soon.

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